🌿 こころの相談室内科医コラム

断れない人のための「角が立たない断り方」――アサーションDESC法と例文集

内科医 前川 出まえかわクリニック)|2026年7月5日

頼まれると断れない。気が進まない誘いを受けてしまい、当日が近づくたびに憂うつになる。断れない人ほど、実は疲労をため込みやすく、外来でも「忙しさの正体をたどると、断れなかった約束だった」という方によく出会います。

断れないのは優しさ。でも「断ったら嫌われる」は事実ではない

断れない人の頭の中にあるのは「断ったら関係が壊れる」という予測です。しかしこれは多くの場合、事実ではなく不安が作った予測です。理由を添えて丁寧に断って壊れる関係は、ほとんどありません。逆に言えば、丁寧に断って壊れる関係は、引き受け続けても遅かれ早かれあなたを消耗させる関係です。

心理学では、自己主張のスタイルを3つに分けます。相手を踏みつける「攻撃的」、自分を踏みつける「非主張的」、どちらも尊重する「アサーティブ」。断ることは、アサーティブな権利の行使です。

DESC法――4ステップで伝える

ステップ内容
D(Describe)状況・事実を describeする:「今日は〆切の資料があって」
E(Express)気持ちを伝える:「両方中途半端になりそうで心配で」
S(Specify)代替案を提案する:「明日の午前なら対応できます」
C(Choose)相手に選んでもらう:「それでも間に合いますか?」

ポイントは3つ。謝りすぎない・嘘をつかない・可能なら代替案か気持ちを添える。長い言い訳はかえって不自然になります。

シーン別・そのまま使える例文

職場で仕事を頼まれたとき
「今日は〆切の資料があって、これ以上受けると両方中途半端になりそうです。明日の午前なら対応できますが、間に合いますか?」

ママ友のランチ会
「誘ってくれてありがとう!その日はちょっと都合がつかなくて。また誘ってもらえたら嬉しいな」
※理由を詳しく説明しないのがコツです。詳細な言い訳は詮索の入り口になります。

親戚の集まり・行事
「声をかけてくれてありがとうございます。今回は都合が合わず失礼します。皆さんによろしくお伝えください」

即答を避ける万能フレーズ
「予定を確認して、あらためて返事するね」
※断れない人の多くは「その場の空気」で受けてしまいます。即答しない癖をつけるだけで、半分は解決します。

練習は「小さな場面」から

いきなり職場の大きな依頼を断るのは難易度が高すぎます。まずは店員さんのおすすめを断る、営業電話を断る、気乗りしないSNSの誘いを既読後1時間置いてから返す――そんな小さな場面で「断っても何も起きない」体験を積んでください。断った後の罪悪感は、不慣れなだけで、回数とともに必ず軽くなります。