「気にしすぎ」と言われて傷つくあなたへ――認知行動療法が教える心の整え方
挨拶を返してもらえなかった。メールの返信が素っ気なかった。会議で自分の発言のあと、一瞬空気が止まった気がした――そのたびに「嫌われたかもしれない」と何時間も考えてしまう。
相談すると返ってくるのは「気にしすぎだよ」の一言。でも、それで楽になれたことはないはずです。気にしないようにしようとするほど、気になるのが人間の脳だからです。
「気にしすぎ」は性格ではなく、思考のクセ
認知行動療法(CBT)では、気分を左右するのは出来事そのものではなく、出来事の受け取り方(認知)だと考えます。そして受け取り方には、本人も気づかないうちに自動的に湧いてくるパターンがあります。これを自動思考と呼びます。
「挨拶が返ってこなかった → 嫌われている」は自動思考の典型です。重要なのは、これが「性格」ではなく「クセ」だということ。クセなら、トレーニングで変えられます。
練習:「事実」と「解釈」を分ける
紙を用意して、線を1本引き、左に「事実」、右に「解釈」と書いてください。
| 事実(カメラに写ること) | 解釈(頭が作った物語) |
|---|---|
| 挨拶をしたが、返事がなかった | 私は嫌われている |
| メールの返信が一行だった | 怒らせたに違いない |
次に、右側の解釈に対して「他の説明は成り立たないか?」と自問します。聞こえなかっただけかもしれない。急いでいただけかもしれない。考え事をしていたのかもしれない――どれも、あなたの解釈と同じくらい(多くの場合それ以上に)ありそうな説明です。
ポイントは、無理にポジティブに考えることではありません。「解釈は複数ありえる」と気づくこと自体が、不安の独走を止めるブレーキになります。
敏感さは、欠点ではない
相手の表情や場の空気の小さな変化に気づく力は、本来は対人関係の才能です。気配りができる、危険を早く察知できる、相手の負担に気づける。問題は敏感さそのものではなく、敏感に拾った情報を悪い方にだけ解釈するクセのほうです。クセの手入れさえすれば、敏感さはあなたの強みとして働き始めます。
体にサインが出ていたら
考えすぎが止まらず、眠れない・食欲がない・動悸がするなど体の症状を伴うときは、思考のクセの問題を超えて、心身が疲労しているサインです。2週間以上続くなら、心療内科またはかかりつけの内科で相談してください。